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■大型SCは静岡市に何をもたらすのか?

静岡市駿河区石田に郊外型ショッピングセンター(SC)、セントラルスクエア静岡が出店してから4年が過ぎました。その後、2007年に静岡パルコがオープンし大型商業施設の開業は一段落したかに思えました。ところが現在新静岡駅(旧新静岡センター)の出店計画と東静岡駅再開発計画の中に三菱地所が開発を計画する大型SCの建設計画があります。

SCとは何なのか、じっくり考えてみたいと思います。

日本ショッピングセンター協会(東京中央区)は店舗面積が1500平方メートル以上で、核テナント以外に10店舗以上を含む商業施設と定義しています。核は百貨店や大型スーパーのほか、最近はシネマ・コンプレックス(複合映画館)などの例もあり、その周辺に専門店などが集まる形が一般的です。少々古い資料ですが2005年8月末現在、2691のSCがあります。2004年に開業したSCの平均面積は2万8071平方メートルで、10年前の1.8倍に増えました。

2000年に大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行され、出店規制が緩和されたためです。それ以前は中小小売店舗の保護を目的とした法律があり、大型店は自由に出店することができませんでした。

SCのうち約7割は郊外に出店しています。車を利用する買い物客を集めるには駐車場も重要です。土地代が安い郊外の方が広い用地を確保しやすいからでしょう。

地方都市ではSCの出店が相次いだため、中心市街地の空洞化が深刻な問題になっています。浜松市は3つのSCに囲まれ、駅前の中心商店街が寂れ、西武百貨店の撤退、老舗百貨店松菱の経営破綻に加え、イトーヨーカー堂浜松駅前店も閉店しました。ザザシティ浜松中央館再開発組合も多額の負債を抱え、浜松市と金融機関に補助金と債権放棄を要求し民事調停が行われています。またその後、松菱の跡地は大丸による開発計画が進行しましたが、昨今の消費不況を背景に出店計画が中止され、全ての計画は頓挫しています。

静岡市では中心市街地が極めて重要な位置を占めています。七間町や呉服町は、ショッピングのみならず、あらゆる施設が集まり市民の生活を満たす機能が備わっているからです。また、静岡市は歴史的蓄積が厚い地域であり、数百年にわたって人々が生活してきた、いわば都市の顔として重要な役割を果たしています。

国も全国の「活性化している都市」の事例で紹介していますし、呉服町名店街は93年に始めた「一店一逸品運動」などが高く評価され、全国の自治体や商店街が次々と視察に訪れています。

しかし、一方では「静岡は大型店が少なく買い物に行く場所、価格の選択肢が無い」「老舗が商売をたたみ全国チェーンへの貸店舗になってきている」などの声も聞こえてきます。中心市街地がこのまま発展できるかどうかまさに正念場を迎えていると思います。

SCは歩いて行けるような近さではありません。車が使えなくなれば、人々は食糧の買い出しさえ大変になります。SCと自動車だけに依存した町づくりで、将来やっていけるのでしょうか。

また売る品物の種類の規制を行い、それによって中小店との「棲み分け」をはからなければならないと思います。しかし、グローバル化の勢いが強まるにつれ、事態は逆の方向へと進んでいます。経済が順調に成長しているときはそれでいいでしょうが、いざそれがうまくいかなくなったとき、今のような大規模店優先政策では、立ちゆかなくなるおそれもあります。

あとで後悔しないためには、SCと商店街との両立が必要です。両者のバランスよい発展を望むなら、SCの出店をある程度規制する必要があります。福島県議会では①郊外型の店舗ではお年寄りら交通弱者の利用が制限される②店周辺の道路整備など、限られた予算を効率的に使うには中心市街地を核にしたまちづくりが必要などの理由からSCの新規出店を規制する全国初の条例を可決しました。自民党も中心市街地の空洞化を防ぐため「まちづくり三法」の改正をまとめました。いずれも人口減少や急速な高齢化を踏まえ、中心部へ都市機能集約を促すのが目的です。

もちろん「駐車場が広い」「一か所で買い物がすむ」などSCの出店を評価する人達もいると思います。しかし効率性や利便性だけが全てではないということに多くの人達が気づきはじめています。物質的な豊かさから人と人が心を通わせ合う豊かさを求める時代になってきています。

既に団塊の世代が定年を迎えた2007年から労働人口が減り始めています。今、65歳以上の人たちは全人口の約25%ですが、5年後には30%になります。そうなると地域のコミュニケーションがとても重要なものになってきます。

各地の商店街ではイベントや祭り、文化、防犯、環境美化、高齢者福祉、子育て支援などの活動を通した新たなまちづくり、地域おこしの萌芽が見られています。そうした活動は、必ずしも商店主達だけで支えられているわけではなく、地域住民、ボランティア、NPOが共に担っていることが少なくありません。商店街が単にモノを売る機能だけでなく、人と人の絆を結ぶ地域コミュニティの核として、まちづくりや地域の活性化を推進する役割を持つことが再認識されています。

以上の理由で、今回の東静岡の三菱地所による開発計画は、静岡の都市の将来像を考えるうえで大きな問題を含んでいます。

又、静岡鉄道による新静岡駅再開発計画(新静岡センターの再開発)は一点集中型の開発計画で、コンパクトでありながら回遊性のある中心市街地の活性化という、時代の要請に対して逆行するものです。

従前の新静岡センターの2.4倍の商業床に増床することも問題ですが、既存の鉄道路線、及びバス路線を導線として集客の為に利用し、自らの再開発計画の為に新たにシネマ・コンプレックスを最上階に誘致して、七間町で100年以上続いている映画文化を破壊することは大きな問題です。上層階にシネマ・コンプレックスと駐車場を併設するのは、自店のシャワー効果を期待するものだと思われますが、これは公共交通機関の使命を担う企業としての哲学に欠け、又、映画という文化を集客の具とすることに強い憤りを感じます。

企業としてSCを開発することも重要なのでしょうが、人と人の絆を結ぶ再開発でなければいけないのではないでしょうか。

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