大正時代 キネマ館

キネマ館

 キネマ館は静活が会社設立と同じ大正八年に開館した旗艦となす映画館である。
 七間町と両替町を結ぶ札の辻町に建設された「キネマ館」はこれまで芝居小屋、寄席、活動写真常設館が個人経営の小規模なものを、株式会社として始めて設立したものだった。
堂々とした三階建ての洋館で、初めて椅子席を設けた。映画の伴奏にもバイオリンやピアノなどの洋楽器を取り入れ大変な話題を呼んだ。開館は八月二十日であった。
静活の創立と「キネマ館」の開館は明治三年の玉川座の開場とともに、静岡の映画館史上の中では、二つの大きなエポックメイキングな出来事であったといえる。
翌年の大正九年、静活は「電気館」を開館し、以後この二館は静活の双璧となった。