長女 嫁ぐ

長女、伊都子嫁ぐ

七間町、北村屋の自店前から、今まさに新婦が嫁ぐ風景である。新婦のちょうど上、アーケードから下がるペナントに「あけましておめでとう73」の文字が見える。1973年の年明けを祝すペナントである。新春の雨の吉日、うっすら濡れた歩道から雨傘の介錯を受けて、新婦がタクシーに乗車する瞬間である。

当時の七間町では、店舗の上階等にに店主達が居住するのは日常的であった。職場と生活の場が一緒であり、嫁入りの門出も自店の前からであった。

時代は流れ平成の現代、店主達は静岡市内の住宅地に居を移し、自店には通勤するという生活スタイルに変わった。静岡の都市人口がドーナツ化し、又、冠婚の為の大型施設が郊外に数多く建設され、現代ではほとんど見られなくなった風景でもある。

昭和48年、新春吉日の撮影。