名画座という館名は銀座の「並木座」を筆頭に全国津々浦々にあった映画館の名前だ。それぞれの名画座がそれぞれの映画ファンの心に懐かしい思い出を刻んでいった。昭和の映画館の思い出は「名画座の時代」という言葉の中に綴られている。「静岡名画座」もそんな映画館のひとつだった。開館は昭和二十九年十二月二十九日。最初は邦画を公開していたが、その後、特選洋画一本立ての名画座スタイルになった。一本立てで月に七本前後の映画を公開。低料金で名作企画物のプログラムは学生をはじめ多くの洋画ファンを魅了した。起源は「開情亭」その後寄席の「入道館」、「花月劇場」を経て写真の「名画座」となる。