カブキ座

カブキ座

七間町に映画館が立ち並んだのは理由がある。まず、市民が立ち寄りやすい土壌が七間町にあったということ。古くは安部の市が開かれている。江戸時代には七座設けられ、人々が集まってきた。

「歌舞伎座」は電気館と同様に全国各地に見られる映画館の名称だ。初代「歌舞伎座」は大正十一年に下石町に開館されたが、静岡大火により焼失した。写真の「カブキ座」は昭和20年代の撮影。戦後に名前を受け継いだ、再建された名門の映画館である。

写真で上映中の映画「石の花」は「モスクワの音楽娘」についで公開されたソ連映画の第二弾であった。戦後日本における最初の色彩映画である。原作者であり同時に脚色をI・ケレルと協同で担当したP・パジョフは、ウラル地方の民俗作家として著名である。また新しい童話作家としても著名であり、スターリング賞けい冠作家の称号をもっている。その代表作の一つ「石の花」はロシヤ人独特のねばり強さと純真な人間愛をテーマとして描いた作品である。