昭和二十五年頃、元静映前で映画のロケーションがあった。配役は佐多啓二、高橋貞二とあと一人で三人だったが、一台の自転車に二人乗りしてあと一人が後押しをして危うく転びそうになる場面。もう一つは旧ことぶきや洋装店の前でリヤカーに野菜を積んで男性が商いをしていた。ジャガイモを客に売るべく秤に掛けていたとき、そばを通った東宝の桂木洋子がその秤の竿に触れてしまい、篭の中のジャガイモが道路へバラバラに落ちてしまって二人で拾うというシーンだった。どちらも二、三ヶ月後に上映されたが、忙しいのに紛れて映画を見るチャンスを失ってしまった。どちらの撮影も野次馬が一杯だったが、俳優の声はどうするんだろうと心配したが、これはアフレコでやるということを聞いて、なるほどと思った。
写真は七間町の人々が店の横で皆で撮影。後に長谷川酒店、杉山金物店が見える。昭和25年前後の撮影。